グロメットの追加
地味なアップデートですが、ノーマルフォークのグロメットが片側3ヶ所ずつに増設されました。ガチなバイクパッカーの方にはさらに使いやすくなっているはず。
インナールーティングの進化
旧型のリヤまわりのケーブルルーティングって実はタイラップで吊られているだけなんです。整備性を重視する吉尾でも、なんとなく「やっつけ感」を感じる見た目。そのあたりも今回のモデルチェンジでロードバイクのようにシフトケーブルがチェーンステーの内部を通るように変更されています。
ジオメトリはおおむね踏襲
機能は大きく刷新されたフレームですが、ジオメトリの変更はほとんどありませんでした。ヘッドチューブ短くなり、トレイルとチェーンステーが伸長。数値だけを見れば、より安定志向に振った印象です。
【新旧ジオメトリ比較】
世代 | 新 | 旧 | 差 | |
モデル | カーボン3L | カーボン5 | ||
サイズ | SM | SM | ||
ジオメトリ | リーチ(BB→ヘッド)水平 | 377 | 377 | 0 |
スタック(ヘッド→BB)垂直 | 551 | 549 | 2 | |
トップチューブ長(仮想) | 544 | 544 | 0 | |
ヘッドチューブ長 | 123 | 131 | -8 | |
トレイル | 62 | 58 | 4 | |
フォークレイク | 55 | 55 | 0 | |
シートチューブ角度 | 73.1 | 73.1 | 0 | |
チェーンステー長 | 420 | 415 | 5 | |
ホイールベース長 | 1013 | 1010 | 3 |
旧型のネックは潰して強みをさらに煮詰めた新しいフレームは、まるでオトナのビジネスパーソンが理詰めで取捨選択したよう。その”正統進化”には大いに納得できる反面、面白みという点では”ナナメ上をいく”キャノンデールらしさがやや薄まってしまった感があります。
創業から半世紀の節目を迎えたこと。コロナ禍中に親会社が替わったこと。ヤンチャな印象が強かったキャノンデールもさまざまな変化の中で新たなフェーズへと進んでいるのかもしれませんね。
②スマートセンスを搭載
新型シナプスから搭載されたキャノンデールが推しまくるデバイス。前後ライトだけの簡易版とガーミンのリヤビューレーダーを加えた上位版があります。
機能の詳細についてはオフィシャルサイトをご覧いただくとして、スマートセンスを搭載していないモデルには、その場所をチューブやコンパクトツールを取り付けられるストラップラックホルダーに活用しているところが良き。
個人的にはもちろんレーダーに心惹かれるわけですが、レーダーを付ける前にイケてるバックミラーを開発して欲しかった気もします。レフティモデルには未搭載なのが残念。
③バリエーションの拡大
実は今回のモデルチェンジで、ノーマルモデルのバリエーションが増えました。レフティだけに用意されていたスラムの電動コンポ付きグレードがノーマルモデルにもラインナップ。おまけにレーダーのスマートセンスも装備され、価格的なフラッグシップはノーマルフォークタイプとなりました。見た目でも好みが分かれそうなレフティよりも、ロードバイクっぽいノーマルタイプ方が人気だったのかしら?
新型、6月末にXSとSMが各1台入ります!
CANNONDALE(キャノンデール) TOPSTONE CARBON(トップストーンカーボン)1 RLE Force AXS完成車 2023年モデルhttps://t.co/qE3GTyl8Ct
定価:(税込)¥792,000 → お問合せください
ご予約受付中! pic.twitter.com/vDgJ0vmH33— サイクルショップカンザキ吹田店 (@81496suita) April 23, 2022
④プライスの調整に良心を感じる
てんこ盛りのアップデートに、昨今のパーツ価格高騰が加わって、値付けはさぞかしお高くなったのだろうなと思いきや。あれ?それほどでもない?
このご時世ですからスライドというわけにはいかないけれど、各グレードのアセンブルをひとつひとつチェックしていくと、「モデルチェンジ=単なる値上げ」にならないように、あの手この手でヤリクリした「苦労のあと」が伺えます。グラベルバイクの候補にトップストーン・カーボンが入っているなら、前向きに検討すべきコストパフォーマンス。
今のオフィシャルサイトは新旧モデルが入り乱れているうえ、相変わらず謎なナンバリングで何が何だか分かりにくかったので、系統別にスペックの新旧比較表を作ってみました!
【ノーマルタイプの新旧比較】
新旧 | 新 | 旧 | ||||
モデル | 1RLE | 3L | 4 | 5 | 6 | |
ドライブトレイン | BB規格 | BSA 68mm | BB30A 83mm | |||
クランク | Force (43-30T) | GRX600 (46-30T) | GRX400 (46-30T) | キャノンデール1 (46-30T) | GRX400 (46-30T) | |
STI | Force eTap AXS | GRX600 | GRX400 | GRX600 | GRX400 | |
FD | GRX800 | GRX800 | ||||
RD | ||||||
スプロケ | 10-36T(12S) | 11-34T(11S) | 11-34T(10S) | 11-34T(11S) | 11-36T(10S) | |
ブレーキ | ブレーキキャリパー | Force | GRX600 | GRX400 | GRX400 | GRX400 |
ブレーキローター | 160mm | |||||
ホイール | リム素材 | カーボン | アルミ | |||
ホイールサイズ(内寸) | 700C (27mm) | 700C (23mm) | ||||
タイヤ幅 | 45mm | 37mm | ||||
最大タイヤ幅 | 700Cー45mm 650Bー2.1ich | 700Cー40mm 650Bー47mm | ||||
コンポ | ハンドル | FSAカーボン | アルミ16° | |||
ステム | FSAアルミ | アルミ | ||||
バーテープ | フィジーク | キャノンデール | ||||
サドル | フィジーク・テラアルゴX3 | フィジーク・アリアンテデルタ | ||||
シートポスト | SAVEカーボン | アルミ | ||||
スマートセンス | ライト&レーダー | ライト | ― | |||
価格(税込・万円) | 79.2 | 36.3 | 28.6 | 32.2 | 28.6 |
【レフティモデルの新旧比較】
世代 | 新 | 旧 | |||
モデル | レフティ1 | レフティ2 | レフティ1 | レフティ3 | |
ドライブトレイン | BB規格 | BSA 68mm | BB30A 83mm | ||
クランク | Force (40T) | GRX600 (40T) | Force (40T) | キャノンデール1 (40T) | |
STI | Force eTap AXS | GRX800 | Force eTap AXS | GRX600 | |
RD | GRX800 | ||||
スプロケ | 10-44T(12S) | 11-42T(11S) | 10-52T( 12S) | 11-42T(11S) | |
ブレーキ | ブレーキキャリパー | Force | GRX800 | Force | GRX400 |
ブレーキローター | 160mm | ||||
ホイール | リム素材 | カーボン | アルミ | カーボン | アルミ |
ホイールサイズ(内寸) | 700C (27mm) | 700C (23mm) | 650B (23mm) | ||
タイヤ幅 | 44mm | 44mm | 47mm | 47mm | |
最大タイヤ幅 | 700Cー45mm 650Bー2.1ich | 700Cー40mm 650Bー47mm | |||
コンポ | ハンドル | アルミ12° | アルミ12° | SAVEカーボン・8° | アルミ16° |
ステム | アルミ | アルミ | SAVEアルミ | アルミ | |
バーテープ | フィジーク | フィジーク | キャノンデール | キャノンデール | |
サドル | フィジーク・テラアルゴX3 | フィジーク・テラアルゴX5 | フィジーク・アリアンテR3 | フィジーク・アリアンテデルタ | |
シートポスト | SAVEカーボン | ドロッパー | SAVEカーボン | カーボン | |
スマートセンス | ― | ― | ― | ― | |
価格(税込・万円) | 73.7 | 48.4 | 85.5 | 44.0 |
と思ったら、やっぱり値上がりは避けられないようです。トップストーンも4月現在の価格より4〜10%程度アップ。リリースした直後にこの動きとは……何かがあったのでしょうか?
【価格改定お知らせ】キャノンデールでは、2022年5月10日(火)より、2022年コレクションの価格を、平均で5.0%値上げすることといたしました。なお、一部のモデルは価格を据え置きとしております。詳しくは最寄りのキャノンデール販売店にお問合せください。https://t.co/G7B3KUz0yJ
— キャノンデール・ジャパン【公式】 (@CannondaleJapan) April 28, 2022
レフティかノーマルか?
トップストーン・カーボンのモデル選びは、レフティとノーマルの選択が一番の迷いどころなのではないでしょうか?例えば、機械式コンポのレフティ2とノーマルの3Lでは12万円の価格差ですから、レフティが気になっていたとしても「最初はノーマルで充分なのでは?」と考えがち。吉尾もまさにそうでした。実際、ノーマルモデルでも充分楽しいのですが、それでも敢えておすすめしたいのは、やっぱりレフティモデル。
トップストーンを買ったら当然グラベルに走りに行くわけですが、日本でグラベルといえば≒林道。その路面はフラットなダートばかりではありません。実際には結構ゴツゴツしたトレイルレベルの坂道が多かったりします。もちろんノーマルモデルでも走れますけど、レフティフォークが存在しているだけに「フロントサスがあったらもっと楽しいかも?」という思いが一切ないかといえばウソになります。
ノーマルモデルとレフティのフレームは共通なので、フォークさえあればノーマルからレフティへアップグレードは可能。ですが、レフティフォークがパーツ単体で供給される可能性は極めて低いようなんです。旧モデルでもほんの数本だけだったと聞きます。というわけで、少しでもレフティモデルにトキめいている貴方は、(多少無理をしてでも)思い切って手に入れてしまった方が結果的にしあわせになれる!はず。
吉尾エイチでした。m(_ _)m
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