グラベルバイクのスペック表には、必ずと言っていいほど載っている「650Bホイール」。ロードバイクと同じ700Cホイールでは最大タイヤ幅40ミリ、650Bホイールなら50ミリという2本建ての表記です。650Bホイールは700Cより小径で、太いタイヤを履けるということは理解していますが、それがどれほど良いことなのかはモヤッとしちゃうんですよねえ。
個人的には、グラベルバイクをロードバイクと明確に区別するポイントはタイヤのキャパシティだと考えています。なので、せっかくグラベルバイクに乗るのなら、めいっぱい太いタイヤを試してみたい!でも、自分の乗り方にはアンマッチなのでは……?今回はそんなモヤモヤの素、「650Bホイール」の解像度をあげてみたいと思います。
650Bホイールは700Cより38mm小さい
ご存じの方も多いとは思いますが、念のため「基本のき」を整理しておきましょう。650Bや700Cなど数字とアルファベットの組み合わせはフレンチ表記と呼ばれていて、数字はタイヤ外径でアルファベットはビードの直径を表しています。ということなのですが、実寸ではなぜか700という数字は出てきません。BとかCとかもかなり曖昧な表現で、突き詰めていくと、そのままではうまく定量化できなかったりします。
そこで登場するのがETRTO(エトルト)という統一規格。タイヤ幅とリムの直径(ビード座直径)の組み合わせをmm単位で表しています。その表記を確認すると、650Bは700Cより約6%ほどコンパクト。ビード座直径はそれぞれ622mmと584 mmです。インチで言うなら700Cが28インチ、650Bは27.5インチに相当します。エトルトは、数字+アルファベットのフレンチ表記とインチ表記を束ねる規格、というわけです。
フレンチ | 700C | 650B |
インチ | 28 | 27.5 |
エトルト | 622 | 584 |
小さいホイールに太いタイヤをあわせるのがロードプラス
ホイールを小ぶりな650Bにすると、そのぶんフロントフォークやチェーンステーにスペースができます。その余白を活かせば、当然700Cより太いタイヤを履けるようになります。そこに目をつけたのがアメリカのタイヤメーカー「WTB」なのだそうです。グラベル界隈ではすっかり定着した感のある「ロードプラス」という提案がそれ。ロードプラスのスタンダードは650bホイールと47mm幅タイヤの組み合わせになっていますが、この場合のホイール+タイヤの直径は700Cに28mm幅タイヤを履かせたサイズと同じになります。
ホイールサイズ | ホイール直径 | タイヤ幅(=高さ) | 合計 |
650B | 584 | 47×2 | 678 |
700C | 622 | 28×2 | 678 |
つまりは「ロードバイク並みの取り回しでロードバイク以上の走破性を実現できますよ」というのがロードプラスのウリ。対応するタイヤもトレッドのセンターがスリックで両サイドに軽めのノブを合わせたハイブリッドタイプが目立ちます。
ロードプラスのメリデメ
650Bホイールとロードプラスタイヤの組み合わせは、理屈では「オンとオフの良いとこどり」。同じくオンオフ兼用のグラベルバイクには実にしっくりくるコンセプトです。おめあてのオフロードに行き着くまでに長いオンロードを走らなければならない日本のグラベル事情にも最適解といえる選択なのかもしれません。
メリット
エアボリュームの乗り心地と走破性
ロードプラスを愛用する方々が口を揃えるメリットがこれです。同サイズで比べるとロードプラスのタイヤ幅は700Cの1.5〜1.8倍。圧倒的なエアボリュームがもたらすふかふか(?)の乗り心地はオフロードだけでなく、荒れたアスファルトでもアドバンテージを発揮してくれるようです。
うちのオフロード担当の子が大きくアップデートしました( ˘ω˘ )
650×48cのタイヤ ロードプラスってやつです700×32cと比べてなんか風船の上を走ってる感覚ですごく面白いです
今回はチューブ入り 空気圧を試行錯誤しながらわちゃわちゃ楽しみたいと思います
まるで重戦車みたい pic.twitter.com/5MSDav369H— ゆーき (@yuyu_1016) August 1, 2021
ただ、「ロードプラスは楽しいぞ!」と語られる場合の文脈は、オンロードではなくグラベルやトレイルと呼ばれる未舗装路であることが多いような気がします。吉尾もレンタルバイクで体験したロードプラスの下り坂はめちゃくちゃ楽しかったです
デメリット
舗装路のロングライドには向かない?
一方で、ロードプラスはオフロードの走破性アップと引き換えに、オンロードの走りがスポイルされることもあるようです。でもこのあたりは、フレームとの相性やタイヤの空気圧設定、個人の脚力や感性にも左右される様子。
Jamis sequel
“ロードプラス(650×40C)の重さはメインの街乗りにおいて、信号や交通の状況による加速・減速で大きな疲労に
…
新たに導入したのは、DTスイスのP1800(700C)ホイールとシュワルベの35Cタイヤ。
試行錯誤の初チューブレス化による効果も相まって、軽快感に涙”https://t.co/xjxdgHAeAC pic.twitter.com/9YDDiVAoqh— CBN (@cbnanashi) October 3, 2020
今のところ、吉尾のオン・オフ比率は9:1くらい。ちょっぴり走る未舗装路のためにロードプラス化するのはトレードオフが大きすぎるかもしれません。だけど……一度はやってしまうんだろうな、きっと。太タイヤのドロップハンドルバイクって単純にカッコよくないですか?せっかくのグラベルバイクですからね、おもいっきり”らしい”見た目にしちゃいましょう!
グラベルバイクに使える650Bホイール
吉尾のトップストーンカーボンはデフォルトが700Cホイールですから、ロードプラスを楽しむためには何はともあれホイールを交換しなければなりません!\(^o^)/取り急ぎ、グラベルバイク用として売られている値頃な650Bアルミホイールを探してみました。
Prime・Orra
重量:1550g
リム高:30mm
リム内幅:21mm
ディスクマウント:センターロック
シマノ・WH-RX570
重量: 1688g
リム高:22mm
リム内幅:21.6 mm
ディスクマウント:センターロック
DTスイス ・G1800スプライン
重量:1895g
リム高:25mm
リム内幅:24 mm
外側リム幅:28mm
ディスクマウント:センターロック
フルクラム・ラピッドレッド 5
重量:1650g
リム高:24mm
リム内幅:23 mm
ディスクマウント:センターロック
マビック・オールロード
重量:1840g
リム高:25mm
リム内幅:25 mm
ディスクマウント:センターロック
グラベル用の650Bホイールはリム幅が広いぶん、ロードホイールよりも重くなりますね。リム幅を21mmに抑えたwiggleのプライベートブランド「prime」のグラベルモデルだけが唯一1,500g台をマーク。頑丈さと重さは比例するのが自転車パーツのセオリーなので、他ブランドよりも華奢なつくりなのかもしれません。
とはいえ、2万円台というぶっちぎりのリーズナブルプライスには「多少弱くてもよいかな」と思わせるインパクトがあります。しかも、ハブやスポークは汎用品を使った手組み。キャノンデール独自のAi仕様へ調整もしやすそうです。個人的には650Bホイールを試してみるならこれですね!
吉尾エイチでした。m(_ _)m
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