【650BホイールのA i化】シロートが見よう見まねでRE-DISHにチャレンジ!

ロードバイクのホイール

キャノンデールの独自規格に「A iオフセットフレーム」というものがあります。

「A i」といっても話しかけるといろいろ教えてくれるアレではなくて、Asymmetric integrationの略語。直訳すると「非対称な統合」……なんのこっちゃい?という感じですが、要はリヤのチェーンステイがドライブ側(スプロケットがついている右側)に張り出したフレーム設計のことです。始まりはMTB用の工夫で、太いタイヤを履いてもチェーンステーは出来るだけ短く、反応の良いフレームに仕立てるねらい。


↑横から見てもチェーンステーの張り出しがわかります

A iフレームにはA iホイールが必要だが……売ってません

愛車のトップストーンカーボンもA iフレームなので、グラベルバイクにしてはリヤまわりのジオメトリはコンパクト。それは良いのですが、A iフレームにはリヤホイールもAi仕様でなければならないところが悩ましいポイントです。

キャノンデールでも一部のモデルにしか使われていない規格だから、対応しているホイールメーカーはほぼナシ。ホイールを交換する際にはスタンダードなフレームのようにポン付けできず、市販のホイールをAi仕様に調整するか、手組みでオーダーすることになります。

動画頼りでA i化にチャレンジ!

ホイールの交換は完成車を購入した時からずっと迷っていましたが、たまたま見つけたキャノンデールの動画を見る限りでは、市販のホイールの調整でもなんとかセルフでいけそうだと判断しました。ちなみにホイールのA i化は「RE-DISH」と呼ぶようですよ。

ホイールは手組みをチョイス

完組ホイールは融通が利かないこともあるようなので、汎用パーツを使った手組みの中古ホイールを入手。最悪、スポークの交換も覚悟しながら作業開始!


↑700Cを650Bへ交換します

ニップルは必ず潤滑

A i化に限らず、ニップルをいじる時には事前にオイルをひと垂らし。舐めるリスクを極力減らしておきましょう。


↑オイルは5-56クラスでOK

右を緩めて左を締める

A iホイール化とは、ハブの真ん中にあるリムを反ドライブ側に6mmズラすこと。後ろから見た場合、右(ドライブ側)のニップルを緩め、左(反ドライブ側)は締めていきます。動画ではニップルを3つ飛ばしで作業していくように解説されています。


↑ニップルを回す向きを間違えないよう

右側のスポークをニップルひと回しずつ緩め終わったら、左側も一回転ずつ締めていく要領です。6mmをズラしきるには、だいたい1.5〜2回転くらいでした。このくらいなら完組ホイールでも問題なかったのかもしれません。


↑始めのニップルにはマーキング必須

センター出しには12mmのジグが便利

6mmズラしたところでセンターを確認するわけですが、市販のセンターツールはもちろんスタンダードタイプ。


↑ジグといっても6mmのボルトを2つ重ねただけ

そのままでは使えないので、ボルトでジグを作りました。片側6mm×2で12mmになるようにします。もちろん定規で測ってもOKです。


↑ノギスは意外と測りにくい

最後の振れ取りは骨折級の難易度

手順だけを書いていくとカンタンそうですが、初めてのRE-DISHは相当手こずりました。ニップルを逆に回しちゃうミスはお約束として、フィニッシュの振れ取りがなかなか決まらないんです。年イチのメンテやってきた「ちょっと振れてるホイール」とは異次元の「縦横どちらも振れまくっている状態」を収める作業はかなり骨が折れました。

数時間かけてなんとかカタチにはしたものの、綺麗に揃っていたスポークテンションはガタガタ……。スポーク調整とはいえ、RE-DISHするならホイールを組めるくらいの技術がないとパフォーマンスが下げてしまいますね。今回はプロセスを体験したかったのでDIYしてみましたが、費やした時間と出来上がりのクオリティを考えると、RE-DISHは工賃を払ってプロに頼んだ方が幸せになれる気がします。


↑実走は意外と問題ナシ!ロードプラスの楽しさを満喫中です

ホイールのA i化に使う工具類

マストは①②③、モアベターは④⑤です。

①ニップル回し

手持ちのホイールのニップルサイズを確認

②センターゲージ

これは代用が利かない道具だと思います

③定規かジグ

12mmの左右差を捉えることがキモ

④振れ取り台

バイクをひっくり返してやる方法もあるけれど、振れ取り台はあった方が確実に捗ります

⑤テンションメーター

スポークの張り具合を見える化してくれますが、均一に揃える技術がない吉尾には気休め程度でした_| ̄|○

トップストーン、A iオフセットやめるってよ

極めてマイナーなネタを長々と書いてしまいましたが、これからキャノンデールの新車を買う方には、実は無用の知識だったりします。なんと新型トップストーンのリヤまわりはスタンダードタイプに刷新。こんな苦労や余計なコストをかけずとも、好みのホイールをポポンとつけられちゃいます!

A iフレームオーナーとしては寂しいやら羨ましいやら……ちょっぴり複雑な気分になるけれど、「手のかかる子ほどかわいい」というのもまた事実。なんだかさらに思い入れが深まってしまいます。

吉尾エイチでした。m(_ _)m

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