昨年春に購入した「キャノンデール・トップストーンカーボン」に異音発生です。始まりは数ヶ月前。坂を登っている最中に、踏み込みに合わせてギシギシと鳴り出しました。その後は時折り思い出したように再発する程度でしたが、年末にいきなり騒々しくなってしまったのでショップに持ち込んでみました。
購入したショップまでは自宅から約30km。自走で向かう間も、最初の20kmくらいまでは”鳴りを潜めて”いましたから、「ひょっとしてして直った?」と胸を撫で下ろしていたところ、後半になって、いい感じのサウンドを響かせまくり……ほんと、バイクの異音は厄介です。
ショップの方にも乗っていただくと、やっぱり「ゴリゴリいってますね〜」とのこと。どうやらBB(ボトムブラケット)の不調が原因のようなので、その場で修理してもらうごとにしました。
BB30Aって、どんなもの?
トップストーンカーボンのBBは「BB30A」という規格で、キャノンデールが開発した(正確には開発した会社を買収した) BB30の発展型。デビュー時期は詳しくわかりませんでしたが、BBといえばネジ込み式しかなかった時代に、フレームに裸のベアリングを直接圧入しちゃう大胆さ。そのうえ、クランクシャフトの直径を24→30mmへ太くすることで剛性アップと軽量化を両立し、当時としてはかなり”エポックメイキング”な規格だったのだそう。
最初はキャノンデール以外のメーカーにも採用されましたが、初期モデルに音鳴りが頻発したため、各社は別の規格(BB90とかPF86とかBB 386とか)へ移行。結局、使い続けたのはキャノンデールだけ(?)という、今となってはマイナーな存在になってしまいました。と書いてしまうとダメなヤツっぽいですが、キャノンデールがその間に根気よくアップデートを繰り返し、音鳴り問題は他の圧入式BBと同等レベルにまで改善されているようです。
ちなみに、BB30とBB30Aの違いはシェル幅。つまり、左右のベアリング同士の間隔です。BB30が68mmだったところBB30Aでは73mmにワイド化され、さらなる高剛性に対応しています。
https://www.riteway-jp.com/itemblog/カテゴリー-16065/2018/02/_kamata
BB30Aと上手に付き合う5つのポイント
吉尾が今まで乗り継いできたロードバイクは全てネジ込み式のBBでしたから、正直なところ、圧入式については今ひとつ理解できていませんでした。今回のメンテナンスを通して、ショップの方から懇切丁寧に教えてもらえたので、だいぶ腹に落ちた感じです。
①マインドセットを切り替える
圧入式BBは強くて軽くすることを追求した、いわば「レーシングスペック」のパーツ。そもそも耐久性とか耐候性とかの優先順位は低いので、同じBBでも圧入式とネジ込み式とは別モノだと考えるべき。最近ではネジ込み式BBにもレーシングなタイプが出ていますが……うーむ、BBの世界は奥が深いです。
吉尾は前の愛車がネジ込み式BBだっただけに、どうしてもそれを基準に評価していました。大袈裟に言えば、リムブレーキとディスクブレーキの良し悪しを比べているようなもの。コンセプトから違うものを同じ土俵で論じようとするのだから、なんだかモヤモヤしてしまうのも当然です。実際、同じ圧入式BBのPF86とかBB90のトラブルを調べてみると「BB30Aだけが劣っている」というわけではないようです。
②BBの異音は「運」、なの?
今回のトラブルの原因はBBとクランクシャフトの間に異物を噛み込んでシャフトに傷がついてしまったことらしいです。画像を取り忘れましたが、愛車のシャフトは確かにひっかいたような傷がいくつもついていました。吉尾のトップストーンは新車から走行500km余りで音鳴りが始まりましたから「BB30Aってそんなにデリケートなものなのか?」と伺うと、そこはケースバイケースすぎて一言では言えないところがあるようす。
ガンガン走り倒しても大丈夫な人がいる一方で、吉尾のようにたいして走ってなくても、引き当ててしまう場合もあるのだとか。そういえば、慢性的に泥だらけになるMTBにも同じようなBBが採用されているわけで。まさか走るたびにBBを交換するようなこともないでしょうし……そのあたりは深く考え込むより、「運がわるかった」と気持ちをスパッと切り替えてしまったほうがストレスがなさそうです。
③少しでも鳴り出したら即対処
異音といっても致命的なトラブルにつながらないのであれば、「多少カッコ悪いだけじゃん」なんて思ったりもしましたが、今回のケースはいずれベアリングやフレームにも影響でるので、放置しないほうが良いとのこと。「鳴ったり鳴らなかったりだから様子を見よう」は不正解でした。BB30Aに限らず、少しでも違和感を覚えたら早め早めに分解整備を心がけることがパーツを長持ちさせるコツ。
手順は、①分解→②洗浄・研磨(シャフトの)→③グリスアップ→④組付けの4ステップ。BB30Aの場合は、クランクを外すのに専用工具が必要なうえ、グリスも特殊なものが指定されているので、ちょっぴりハードルが高いです。
④異音がなくても1〜2年で交換推奨
あと、ねじ込み式BBとの決定的な違いはパーツの賞味期限。特にBB30Aはベアリングがむき出しなうえ、クランクシャフトも軽く柔らかい素材を使っているため、ノントラブルでも結構なペースで摩耗していくのだそうです。ねじ込み式BBはそうそうダメになることはありませんが、BB30Aのシャフトとベアリングは消耗品と割り切って定期的に交換したほうがベター。メンテナンス的にはチェーンとかブレーキパッドの仲間だと考えましょう。
⑤交換はショップに頼むが吉
自らの楽しみのため、セルフメンテを貫きたい吉尾ですが、圧入式のBBには腰が引けてしまいます。フレームに干渉するような作業は「失敗したら買い換えればいいや」というわけにはいきませんからね。
クランクの組み上げにもノウハウがあるようで、動画で学んだくらいでは上手くできない可能性もあります。一方、ショップに持ち込めばBB以外の部分もプロの目で調子を見ていただけるので安心!リスクの高いBBのメンテはショップにお願いしたいと考えています。
おまけ
シマノクランクは使えない!トップストーン・カーボンの特殊なフレーム事情
ネットでBB30を検索すると、必ずでてくる「アダプターでシマノクランクに換えました!」という記事。孤高の規格BB30がついているキャノンデールの完成車はクランクまわりもキャノンデール製なのですが、これをコンポに合わせてシマノ製に交換することができます。メーカーの保証が効かなくなってしまうものの、実は吉尾も換装する気まんまんでした。
でもしかし、です。愛車のトップストーンカーボンに限っては対応するアダプターがないため、シマノクランクは使えないのだとか。トップストーンカーボンのシェル幅は、BB30Aよりさらに広いMTB規格の83ミリ幅が採用されているのですって!初期型のスペック表を見返してみると、確かに「BB30-83」という記載が……ほぉ~。
シマノクランクを使えないのは残念ですが、規格外=ワンオフ的な喜びもあって、愛車をますますかわいく感じてしまったり……。そんなわけでBB30A(83)とキャノンデールのクランクとは長い付き合いになりそう。今まで以上に大切に扱っていきたいと思います。
吉尾エイチでした。m(_ _)m
コメント
私のREACTOも早々に音なりが出ました。音が鳴るのは激坂登る時など場面は限定されますが、気になってWISHBONEに変え増田。こっちは快調です。
かいぞーさん
コメントありがとうございます!
やっぱり圧入式はBB30に限らず音鳴りしやすいようですね。
ウィッシュボーンに換装ですか!トップストーン用も出してくれるとありがたいなあ……
WISHBONEは凄まじい種類のバリエーションがあるので、たいていのフレームなら換装自体はできると思いますよ。
今、WISHBONE BB30AでググったらBB30A用WISHBONEがヒットしました。
換装直後は剛性が上がった感じがします。すぐ慣れてしまうので扱いこなせないほどのレベルじゃないですし、何か効果があるのかはわかりませんが。
ちなみに劇坂でも音なりしません。
かいぞーさん
情報ありがとうございます!
私も調べてみます!