価格の恩恵はやや微妙?
採用モデルの価格帯がつかめたところで、実際に完成車として「買い」なのかをチェック。ほかのコンポとの価格差に注目してみたいと思います。
総じてアルテグラdi2よりも価格設定は低い
まずは現状の競争相手となるアルテグラdi2と比べてみましょう。今までは「電動コンポのバイクが欲しい!」となると、裾値ゾーンはアルテグラDi2一択でした。しかし、ライバルetap AXSがリリースされたことにより、選択肢の幅が広がったと言えます。
【スペシャライズド・ルーベ】
コンポ | 価格(※) |
アルテグラdi2 | 55万円 |
ライバルetap AXS | 52万円 |
パリ-ルーべで7度の優勝に輝き、「Smoother is Faster」を証明してきたRoubaix。
正確な変速と制動力に優れた油圧ディスクブレーキを採用するワイヤレスのSRAM Rival eTap AXS 12速グループセットを搭載したCompモデルが新登場!
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— スペシャライズド・ジャパン (@specialized_j) April 16, 2021
コンポ以外のパーツ(ホイールとか)が、ほぼ同じに見えるスペシャライズドをはじめ、どのブランドもアルテグラDi2よりもライバルetap AXSを安価に設定しています。重量や変速精度といたコンポのグレードによる違いはありますが、それでも「11速×有線」よりも「12速×ワイヤレス」のほうが安い、となればライバルetap AXSを選ぶ方も増えるはず。
ただ、シマノも12速化するウワサがありますので、各社の22年モデルが出そろう頃には、スラムの変速段数のアドバンテージは失われてしまうのかもしれませんが。
シマノの機械式と競合できたらゲームチェンジャ―になれるかも
電動コンポは欲しいけど、今の価格ではちょっとね……という、おそらく大多数のサイクリストにとってはどうでしょう?先ほどのスペシャライズド・ルーベとライバルetap AXS採用車ではおそらく最安値であるキャノンデール・CAAD13のラインナップを比べてみます。
【スペシャライズド・ルーベ】
コンポ | 価格(※) | 価格差 |
ライバルetap AXS | 52万円 | - |
アルテグラ機械式 | 39万円 | -13万円 |
105機械式 | 30万円 | -22万円 |
【キャノンデール・CAAD13】
コンポ | 価格(※) | 価格差 |
ライバルetap AXS | 40万円 | - |
アルテグラ機械式 | 31万円 | -9万円 |
105機械式 | 24万円 | -16万円 |
なんと、CAAD13 Disc Rival 6月納期、遅れなかった🤩🤩🤩キャノンデールGJ!!変速気持ちいー! ペダル忘れて自転車屋さんにペダル借りちゃったので明日台風の中返しに行ってきます… pic.twitter.com/vESyB0ANEw
— Ikebe Sadao (@bonyarou) June 26, 2021
やっぱり、シマノの機械式とは大きな隔たりを感じます。まあ、シマノ自身がアルテグラの機械式と電動式の価格差を15万くらいつけているからあたら前ですけど。それだけに、ライバルetap AXSと機械式のアルテグラとの差額を5万円程度に抑えられたら、電動コンポのユーザー数を一気に伸ばせるのではないかしら。
まったく根拠がない基準ですけど、少なくとも105かアルテグラかで迷っている方には、「どうせなら!」と清水の舞台からバンジーさせるきっかけになる気がします。
でも、そういうマインドのサイクリスト(吉尾も含めた多数派?)は、シマノが105を11速のまま、今のライバルより安い価格で電動化してきたら、間違いなくそちらを選ぶので、そこまで大盤振る舞いしても、スラムにはあまりメリットはないのかもしれませんね。
本命はグラベルコンポ「GRX・di2」との競合か?
ロードバイクではいまひとつ萌えないライバルetap AXSですが、個人的に期待しているのがグラベルバイクへのアセンブル。ディスクブレーキ専用であることに加えて、クランクのスピンドルに幅が広いモデルがあったり、フロントシングルの歯数やクランク長のバリエーションを考えると、実はそちらが本筋なのでは?と。
Rival eTap AXSデビュー スラム第3の電動無線/油圧ディスクブレーキロードコンポ – 普及グレードも電動へ | cyclowired https://t.co/oMY6ODV9FP
— 吉尾エイチ (@eichi_yoshio) June 25, 2021
現状、各社のグラベルバイク完成車ラインナップには値ごろな機械式GRXの採用が進んでいますが電動化はまだまだ。スラムはライバルetap AXSの価格やパッケージングを武器に、これから伸びるグラベルバイク市場でのシェアアップをもくろんでいる気がしてなりません。グラベルバイクなら、すでにディスブレーキのフレームに乗っている方がほとんどですから、乗せ換え需要もロードバイクよりはあるでしょうし……
もともとスラムのロードコンポは、MTBコンポとの互換性が強みですからね。そういった意味では、シマノ以上にグラベルロードとは相性が良いブランド。そして、グラベルバイクの最大マーケットである北米は、MTB市場でシマノ以上のシェアを持つと言われるスラムのホームグラウンド。十分に考えられる戦略です。
吉尾自身も、一度は吹っ切れた「スラム信仰」がライバルetap AXSの登場で再燃しそう。しそうなんだけど、やっぱり、お値段が……。電動コンポとしてはお値頃かもしれないけれど、機械式と比べてしまうとまだまだ高嶺の花。庶民派の吉尾としてはもう一声欲しいところです。ライバルがリリースされたばかりなのになんですが、スラムのエントリーグレード「アペックス」の電動化に期待しましょうかね。
吉尾エイチでした。m(_ _)m
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