【ROTOR・Q-RINGSの300kmインプレ】“最後のひと押し”をしてくれる楕円チェーンリングはビギナーにもおすすめ!

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結ばなくても良い靴ひも、どんなネジでも回せるペンチ……こういう“アイデア商品”的なアレって、いざ買ってみると「期待していたほどではなかった」ということも少なくないですよね?

価格差ほどの効果を感じられなかったり、メリットを強化するかわりにデメリットも増えていたり。結局「そんなに良いものなら、それがスタンダードになってるよねー(笑)」と自分を納得させて終了……とならないのが今回の「Q-RINGS 」です。チェーンリングを楕円にすると、どんな効果を体感できるのか?リポートしたいと思います。

 

ROTOR(ローター)の「Q-RINGS」のルーツは大学の研究室

Q-RINGSをリリースしているローター社は2002年にスペインで創業されたサイクルパーツメーカーですが、その起源はマドリード大学の航空工学科の学生達が1995年に始めた「人間による円運動と自転車のペダリング」についての研究なのだとか。

そこからさまざまなプロトタイプが生み出され、2005年のQ-RINGS誕生につながっているというのだから、なかなかにアカデミックな血統のチェーンリングです。15年のロングセラーアイテムに育ったのも、真面目な研究がバックボーンにあればこそなのでしょう。


↑ Q-RINGSは“情熱の国”スペイン・メイド

 

Q-RINGSのしくみ

最近のスポーツバイク界隈でよく使われる「パワー」という言葉。単位が「W (ワット)」で表されるだけに初めて目にする時は電球とか掃除機を連想しがちですが、これは物を動かすための「力」と動かす「スピード」を掛け合わせた“仕事率”のこと。ロードバイクでは、クランクにかかる(踏む)力=「トルク」とクランクが回転するスピード=「ケイデンス」が当てはまります。つまり、トルクが同じならケイデンスが高い方が、ケイデンスが同じならトルクが強い方がハイ・パワー=よく進む、というワケ。


↑高トルク×高ケイデンスならさらに速い

一般的に、ケイデンスは90°(3時) あたりで、トルクは105°あたりでそれぞれピークに到達するそうです。なので、その2つの掛け合わせである「パワー」も、クランク位置が3〜4時のあたりでMAXを迎えます。そのタイミングで大きなギアを回せば推進力に直結しますし、逆にそれ以外のところは小さいギアで体力のロスを抑えることができれば、自転車はさらに効率良く進むようになるはず……。トルクとケイデンスの変動に合わせて、ギア半径を変化させる”自動変速”をたった1枚の歯車で実現したのが楕円チェーンリングなのです。


↑真円のノーマルリング(左)と比べたら一目瞭然

 

“ラクに速く”は本当か?→本当(個人差アリ?)

日本代理店のHPでも、Q-RINGSのメリットは“パワーの向上と効率アップ”と謳われています。パワーとは“推進力”ですから、同じ条件であればパワーの高い方が速く進みます。そして、効率アップは“疲労の軽減”につながるわけで、つまりはQ-RINGSを使えば“ラクに速く”走れるようになるらしいのです。


↑吉尾はクランクに合わせて5アームの旧型を調達

 

巡航速度アップの“最後のひと押し”を実感

スピードアップに関しては「平均速度が+0.7km/h」とか「平均スピードが1割アップ」といったフレーズをネット上で確認できます。最高速度は伸びないものの、平均≒巡航速度の底上げには効果があるようです。

≫What’s Q-RINGS オーバルチェーンリングって何? ROTOR Q-RINGS 完全解説

で、実際の効果はというと、巡航速度は確かにアップした印象です。ここでいう「巡航速度」とは無風・平地で1時間維持できるスピードのこと。信号に捕まらずノンストップで1時間も走ったことはないのであくまで体感ですが、これまでどんなに頑張っても届かなかった30km/hの大台に乗った感触があります。とはいえ、Q-RINGS効果は人それぞれ感じ方が違うようですから、「吉尾の場合は」という但し書き付きでお読みいただけるとありがたいです。

 

スピードがアップするのは回しやすくなるから

楕円チェーンリングといえば、トルクをかけるポイントとなる最大歯数の部分(楕円の長径)にフォーカスされがち。でも、非力な吉尾が最初に効果を感じたのは最小歯数部分のほうです。

Q-RINGSに変えると、チェーンに駆動力を与えるクランク半周(12〜6時)のうち、実は半分以上の行程がノーマルリングよりも小さくなるんです。そのおかげで脚が異常に速く回る(気がします)。ビフォーが“ぐるぐる”だとすると、アフターQ-RINGSは“シャッ”と脚が戻ってくる感覚。実際、ケイデンスがポンポン上がるから、それにつられてスピードもアップする、というワケ。


↑ペダリングが上手くなったのかと錯覚するくらい回ります

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