まことしやかに囁かれ続けるショートクランクの効果。ただの都市伝説なのか、マジネタなのか?最初は「クランクを短くすれば誰でも速くなれる!」裏ワザ的なtipsだと思っていたのですが、ググりまくった後の解釈としては「自分のカラダに対して今のクランクは長すぎませんか?」というやや控えめなニュアンスを感じました。
実際、ショートクランクの効果には科学的な裏付けがあるようないような状態で、確固たるセオリーとして定着しているわけではなさそう。とはいえ、良いと言われるものはとりあえず試してみたくなるタチなので、フロントシングル化にあわせてクランクを短いものに交換してみました。
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ショートクランクのメリデメの理屈
クランク長の目安といえば 「身長の10分の1」という指標が有名。吉尾で言えば167cm ÷10=167mmが適正値となりますが、その根拠は?と聞かれるとハッキリとした答えはないようです。一方、完成車のデフォルトクランクは170mmが中心。おそらく、日本人男性の平均身長170cmの10分の1という計算なのでしょう (最近のバイクはフレームサイズに合わせて、クランク長も165〜175mmがセットされたモデルが増えてきています)。
そんな状況のなかで、クランクの長さは身長ではなく股下長や大腿骨の長さに合わせて選んだ方が良いという説があります。日本人は身長に対して足が短めなので、適正なクランク長も身長を元にしたデフォルトよりもたいてい短くなる……という流れ。クランクは脚で回すものだから、言われてみればその通りな気もします。
ショートクランクのメリット
便宜上「メリット」と書きましたが、ショートクランクには「力学上の理屈」と、「今のクランクが長すぎる場合のデメリットが解消される」部分があると考えています。
①ケイデンスをあげやすい
クランクが短くなれば、ペダルが描く円の軌跡も小さくなります。半径170mmの円周は1068mm、半径が165mmなら1036mm。同じスピードでペダルを回せば、移動距離の短いショートクランクの方が早く一回転してしまうのが道理。
②筋力の効率がアップする 、かも
筋肉には「至適筋節長」という最大筋力を発揮するために一番適した長さがあるそうです(知りませんでした!)。しかし、クランクが長すぎると脚の筋肉がその長さを超えてしまうため、出力の効率が悪くなってしまうのだとか。つまり、今のクランクが長すぎた場合、ショートクランクに交換するだけで筋肉のスウィートスポットで踏めるようになり、トルクやスピードの向上が見込める、というわけです。加えて、関節の動きも穏やかになるので、脚への負担が軽減される効果も期待できます。
ショートクランクのデメリット
自転車はバランスのノリモノなので、新たなメリットにはその裏返しも考えなくてはなりません。
①長いクランクよりもトルクが必要
メリット①同様の力学的な理屈。クランクを短くするとテコの効果が弱まる分、踏み込みに多くの筋力が必要になります。自転車の推進力の指標である 「パワー」は、ケイデンス(回転速度)とトルク(踏力)の掛け算ですから、ショートクランクのメリットでケイデンスが高まる分デメリットでトルクが下がり、パワー自体はイーブン、ということもありえるわけです。
②フォームが変わる場合がある
クランクが短くなると、下死点の位置がサドルに近くなります。それに合わせてサドル位置を高くした場合、ハンドルまでの落差は広がり、水平距離も長くなります。フォークコラムをカットした後ではステム位置の調整が効かないので、その時は前傾姿勢は深くなり、ハンドルも遠くなります。ショートクランク化は上半身の筋力や柔軟性が低い方にはツラいフォームになる可能性があります。
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