さらに、激しい運動をする人ほど、睡眠時間はより多く必要ということもわかってきているそうです。動物ごとの体重あたり酸素消費量と睡眠時間の相関関係を見せていただいたのですが、実は酸素消費量が多い(燃費の悪い)動物ほどよく寝るんですねえ。
動物 | 酸素消費量 (cc/g/時) | 睡眠時間 |
ゾウ | 0.2 | 2時間 |
ヒト | 0.3 | 6時間 |
リス | 1.0 | 10時間 |
コウモリ | 2.0 | 18時間 |
※講演内資料から作成
人間の場合に置き換えると 「カロリー消費が多い人ほど睡眠が必要」ってことになるのでしょうか?講義の内容にはありませんでしたが、吉尾の年代(50〜69歳)の男性で比較的高強度の運動をしている方の必要カロリーは2,800kcal/日。一方、自転車選手のそれは3,900〜4,600kcal/日にもなるそうですから、その差は1.4〜1.7倍です。やはり、アスリートのパフォーマンス向上には、十分な睡眠が必要なのだと言えるでしょう。
練習するなら朝なの?夜なの?眠りを妨げない時間帯は……
アスリートには睡眠が重要とは言っても、活動するための準備ですから、その分練習もしっかりやらなければ意味がありせん。専業のプロサイクリストは、日中に走ることができますが、アマチュアである私たちが平日に練習するとしたら、仕事や学校の前か後ということになります。
林氏曰く、「眠りの観点からは高強度の運動をするなら、就寝の2〜3時間前までに終わらせるとベター」なのだそうです。活性が低い寝起きにフルスロットルで運動すると、睡眠の良し悪し以前に身体そのものを壊してしまうこともありますし、逆に遅い時間にハードな練習をしてしまうと、身体が興奮状態になっているため、いざ眠ろうと思っても寝付けなくなってしまうことが多いのだとか。
なので、仕事のあとすぐに練習できる方は良いけれど、多くの方は朝か夜の早い時間に強度を落としてトレーニングするレベルが現実的なところになりそうです。日頃からこまめに練習を続けている方で、日中に耐えられない眠気を慢性的に感じていらっしゃったら要注意。不眠にエスカレートしてしまう前に睡眠の優先順位を上げて、練習の時間帯や強度を早めに調整したほうが良いようです。
後編は眠りの質を高めるtipsとNG集
まだまだお伝えしたいことはありますが、話が長くなってしまいましたので、残りは次回に。後編では、睡眠時間が不足しがちな「忙しパーソン」のために、講演の内容から眠りの質を高めるtipsをピックアップしたいと思います。
●後編はこちら
>>【パフォーマンスを高める睡眠のコツ:後編】自らの睡眠障害を克服した”眠りのプロ”直伝「眠りたいならやってはいけない5つのコト」 | 凪ロード
吉尾エイチでした。m(_ _)m
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