今や全世界的な常識とも言える「SDGs」。最初のSが表す「サスティナビリティ」という単語を見かけない日はないくらい。そんな風潮の中、人力で動かす自転車は健康維持やエネルギーを使わない移動手段としてポジティブに語られることがほとんどです。
しかし。クルマや電車の代替手段としてではなく、休日にわざわざ自転車に乗るためだけにクランクを回す我々は、果たしてサスティナブルなのでしょうか?ココロの片隅に引っかかりながらも蓋をし続けてきたモヤモヤについて、今日は少しだけ向き合ってみたいと思います。
きっかけは「Miles」というアプリ
一時期かなり話題になったのでお使いになっている方も少なくないとは思いますが、スマホアプリに「Miles」というものがあります。移動距離をポイント化して様々な特典と交換できるしくみです。このポイント化がミソで、単独のクルマ移動を1として、電車は3倍、徒歩なら10倍に換算してくれます。つまり、ローインパクトな移動手段をつかうほどポイントが溜まりやすくなる、というわけです。
ちなみに自転車の換算レートは5倍ですから、ちょっと距離を走るサイクリストならみるみるポイントが溜まります。吉尾も最初のうちは面白がっていましたが、ある時「ちょっと待てよ」と。そもそもMilesはクルマ移動がデフォルトのアメリカ生まれ。それをシェアライドや自転車に置き換えることでCO2の排出を抑えよう、というコンセプトが評価されて日本でも人気を博しました。
一方、我々ホリデーサイクリストは自転車に乗りたいがためにわざわざ移動しているだけ。エコな自転車といえどもプラスオンの利用はサスティナとは言えないのではないでしょうか?通勤や通学とは違って「乗らない」という選択肢もあるわけですから。ていうかむしろCO2の排出を増やしにいっちゃってますよね?今まで気づかないふりをしてきた”不都合”を改めて突き付けられた気がして、アプリをそっとデリート……。
エコプロダクトの選択で逆転できないか?
移動手段としての自転車はサスティナブルだけど、趣味の自転車はそうでもなさそう。そもそもSDGs的には自転車に乗る動機が不純なのです、我々は。でも、乗りたい。ならどうするか?パッと思いつくのは、自転車グッズを環境重視型のものに切り替えること。走るという行為からモノ軸にシフトして取り組むスタイルです。
最近は確かにエコを謳った自転車グッズが増えてきていますよね。木製フレームなんかはかなりインパクトありそうですが、その他はというと、ボトルケージとか、ウエアのパッケージとか。大切な選択ではあるのだけれど自転車業界のエコプロダクトはまだまだ限定的。今使っているものはどうするのか問題も含めて、それだけで持続可能性の収支がプラスに転じるとは言い難い状況です。
まあ、趣味の自転車の世界なんて地球規模から見たらわずかなもの。どうせならもっとインパクトが大きいジャンルに考えるカロリーを使うべきなのかもしれません。とはいえ、喉の奥に居座る小骨ような違和感をどうにかしたい衝動にかられる時もあります(いつもじゃないけど)。
ラルートの記事にその先を感じる
そんな中、何気なく入会してみた自転車メディア「ラルート」さんの過去記事に興味を惹かれました。
さてさて、写真展ツイートばかりしてましたが、本日の記事は「日本のオフロードを考える(Vol.1)|今そこにある危機(と希望)」。オフロードは関係ない…と思われがちですが、ロード乗りの方も是非ご覧になっていただければと思います。 @pepcycles @bikeshu https://t.co/56KHf5T403
— ラルート (@laroutejapan) November 29, 2021
自転車に乗るだけでサスティナビリティをアップするのは難しそうですが、もう少し大きな関りで自転車趣味を捉えればうまくいくのかもしれない……。走るフィールドやそれを取り巻くステークホルダーの事情まで、四隅を広げて考えてみれば、行き止まりのように思えた自転車趣味の先にも、続く道が見えてくるように感じました。
まずは、ペダルをひと漕ぎ
例えば、グラベルやトレイルを擁する里山の保全活動。担い手不足が課題ならそれを喜んでくれる人がいるし、自然環境のサスティナビリティとアクティビティの継続性が少なくともトレードオフにはならないはず。調べてみると、ホームグラウンドの三浦半島でもコツコツと活動を積み重ねる人達がいることを知りました。
今回は偉そうに言葉を並べてしまいましたが、実は自分がやっていることなんてお手伝いの域をでないレベル。これからどうコミットできるのかも未知数です。まだまだモヤモヤは晴れないけれど、動かなければどこへも行けない。まずは、ペダルをひと漕ぎ。始めます。
吉尾エイチでした。m(_ _)m
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