良くも悪くも「スラム eTap axs」が気になる10の理由
コンポブランドの全体感がつかめたところで、いよいよ「スラム eTap axs」について調べていきたいと思います。吉尾のまわりには残念ながらスラムユーザーがいないので、実物を見たことはありません。ネットの情報を集めた中で感じているポイントをまとめてみました。
【ポジティブなポイント】
①シマノからの卒業
11速コンポまではシマノのフリーボディ互換でしたが、12速×電動ワイレスコンポの「eTap axs」のリリースを機に、XDRという独自規格となりました。名実ともにシマノ・カンパに続く3番目のロードコンポサプライヤーとなりました。同ブランドのMTBコンポ「EAGLE」と互換性を持つところにも、オフロードに強いスラムらしさを感じます。
② X-RANGEギアリング
10Tのトップギアを持つスプロケットとMTBライクな小型チェーンリングを合わせた独自のシステムに注目しています。ギア比のワイド化とクロス化を両立しているとのことですが、このあたりは後半で検証してみたいと思います。
③ 唯一の完全ワイヤレス
X-RANGEギアリングと同じくらい心惹かれてしまうのが、配線コードがないところ。セルフメンテ派としてはルーティングの作業が減るので非常にありがたい。各種設定もすべてスマホから行いえるところも今っぽいです。
④ 独特なシフト操作
リアのシフトアップは右レバー、シフトダウンは左レバー、そしてフロントは左右同時タップで変速するという操作方法が使いやすそう。車のパドルシフトに近いかんじなのかしら。
⑤デザインがかっちょ良い
ハイエンドモデルの「RED」はもちろん、セカンドグレードの「FORCE」も直線的なメカメカしい造形。好みがわかれるところではありますが、特に専用チェーンのデザインにはグッときますね。リアディレーラーに搭載されている「油圧ダンパー」とワードにも男ゴゴロをくすぐられます。
【ネガティブなポイント】
①高価
実売価格はバラツキがありますが、同グレードで比較するとシマノの2倍くらいになるようです。今回調べてみて初めて知ったのですが、販売店によってはカンパよりも高価な場合もありました。
②変速精度
インプレ記事を見る限りでは、「RED」はともかく吉尾が気になる「FORCE」はシマノの同格「アルテグラDi2」の変速精度には及ばないようです。
③パーツの入手性
シマノはなんといっても世界シェア8割ですからね。それに比べてしまうと、リペアパーツは確実に手に入りにくいと思います(そして、たぶん高価)。セルフメンテ派にとっては結構重要な要素だったりします。
④メンテの情報量
個体数が少ないので、ネット上にもユーザーによるメンテ情報が少ない。先人のお知恵を借りにくいので、セルフメンテの場合はトラブルシューティングを自ら研究しなければなりません。
⑤耐久性が未知数
シマノを使っているとめったに壊れないのが当たり前になっていまいますが、スラムはどうなのでしょうか?リリースされてから日が浅いので、ライフタイムに関するユーザー情報はほぼ見つかりません。
LCシリーズで思い出深いのが、LC575です。
仕事はPowerMacでしていて、息抜きのゲームをLC575で。。。
ColorClassicのようなスマートさはありませんが、なんとなく愛嬌を感じませんか?#Macintosh #マッキントッシュ #LC575 #ColorClassic #Mac#デザインの部屋https://t.co/m9fUaQVT1h pic.twitter.com/XgQBax2V1c— room7 (@room_7) 2019年1月29日
X-RANGEのメリット「ワイドでクロスなギア比」は本当か?
X-RANGEとはコンパクトチェーンリングと10Tから始まる12スピードのスプロケットを組み合わせたスラム独自のギアリング。フロントダブルのチェーンリング歯数は50/37T・48/35T・46/33T、リアスプロケットは10-26T・10-28T・10-33Tのそれぞれ3種類をラインナップ。50/37+10-26が従来プロレースで使われてきた53/39+11-25に相当し、48/35+10-28は一般ユーザー向けの52/36+11-28相当、そして46/33+10-33はロングライドやグラベル用の50/34+11-32に相当するそう。
このX-RANGEのメリットとして、スラムは2つのポイントを強調しています。ひとつは「ワイドレンジ化」。シマノの11速より1段多いので当たり前といえばそれまでですけど、アウター×トップはより重く、インナー×ローはより軽くなっています。
そして、もうひとつはトップ~ミドルレンジの「クロスレシオ化」。10-33T以外のスプロケットは、トップ10T~17Tまでの7速分が1T刻みなのでより細やかでスムースなケイデンス調整が可能としています(シマノの1刻みは3~6速分)。
それを検証するために、吉尾の今の組み合わせ50/36T×11-30TとeTap axsの完成車にセットされることが多い48/35×10-33のギア比を比べてみました。確かにトータルでは11速のシマノに比べてワイドレンジ化していますが、クロスレシオ化は微妙です。
ギア比の平均ピッチはほぼ同じでしたし、時速30㎞前後の常用域(黄色の欄)はほとんど変わりません。強いて言えば、登坂に使いそうなゾーン(グレーの欄)はスラムのほうがややクロス気味なので、坂道が苦手なサイクリスト(自分)は助かるかもしれません。
スラムのコンポは「ヨロメいてしまった人」専用?
最後に、タイトルにある”乗りやすさ”についてですが、いちばん期待していたXDRのギヤ比からは圧倒的なメリットを想像することはできませんでした。だけど、eTap axsは調べれば調べるほど、理屈ではないところで強烈に惹かれてしまうのもまた事実。
自転車はエモーショナルな乗り物なので、実際に走ってみてはじめて本当の良さがわかるのだと思いますから。シフトチェンジの操作感やスラムお家芸のディスクブレーキの効き味など、興味が尽きることはありません。これからもじっくりと情報を集めていきたいと思います。
吉尾エイチでした。m(_ _)m
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